僕は彼女の左手を取ってその薬指に口付けをひとつ 相変わらずの照れた表情で染めた頬をあげ、不思議そうな顔でちゃんは僕を見た。 「病める時も 健やかなる時も 君の傍に居ると誓うよ」 そう言って今度は手の甲に口付ける。 その白い手がピクリと動いた 動揺しているんだろう 彼女らしいと言えば らしい そう思ったら自然と口元が弧を描いた。 「ちゃんが僕の傍にいてくれたら、世界なんてどうだっていい」 なんて、ちょっと言いすぎかなあ と笑いながら問い掛ければ彼女は困った顔をする。 欲しいものは沢山あるんだ でも、必要なのは君だけだよ 嘘じゃないよ? 前髪をかきあげ、今度は額にキスをする。 そこでようやくちゃんは僕の名前を呼んでみせる 「いろいろあちこち弄って逸らして やっと手に入れたんだから。」 大変だったよ、なかなか上手くいかないんだもん。 運命なんて僕、信じないから 自分の力でなにしたって手に入れてみせるつもりだったけど。 ちゃんは知らないかもしれないけどね。 もちろん彼女は僕の言葉の意味がわからないようで首を傾げる。 「だからもう僕から逃げられないよ。逃がすつもりも、ないけど」 ふふっ、て小さく僕が笑えば 彼女も幸せそうに笑う。 ふわふわした髪にそっと指を通せば、くすぐったそうにちゃんは身をよじる そうしたら、ふいにおんなじシャンプーの匂いがして、なんだかとっても幸せな気持ちになった。 抱き寄せてぎゅうって力を込めたら、ちゃんがすこしだけ苦しそうな悲鳴をあげた。 仕方なく解放すれば、彼女は嬉しそうに僕を見上げて、一言つぶやいたんだ 「例えどんな未来だったとしても、 私はあなたと一緒にいた気がします」 僕は思わず目をまんまるにして、彼女の顔を見つめる。 なんだか無駄に頑張って損した気分になった。 心臓のもっとすこし奥がきゅっと小さくなったから、もう一度その体を抱き寄せた。 僕はおかしくなって小さく笑う 君がそう信じるのなら そういうことにしてあげる そう言って唇にキスを落とした。 (2009.12.04 Alice) |