「はい次、風介君が引くばんー」


時間は学生なら誰しも心を躍らせるであろう昼休み。
いつもの面子でいつものように屋上に集まってだらだら過ごしていた

満腹感からくる生理的な眠気に抗うこともなく、うとうとしてる俺の背中側では
なんとも騒がしい世間的に言えば俺の彼女と言うものにあたるの声。

声の持ち主はと言うと、いつものように基山と涼野とじゃれついている(今日はトランプか…)


「はいこれ、これババ!これ引いてこれ!」
「ババだと言われてわざわざ引く馬鹿はいないと思いますが」
「いやいや、案外フェイクなのかもよ? ねえ?」
「ねー!」


楽しそうにはしゃいでると、あくまで冷静な涼野。
なにかにつけてに絡んでいるのはもちろん基山の声であって
最初の頃ですらいちいち腹を立てていたものだが、きりがないので最近はもう聞き流す事にしている。


そんなことを考えているうちにどんどん意識は朦朧としてきて、
基山の誘導にのせられたであろう涼野の悔しがる声と、それに喜ぶ彼女の声が遠い


あともう一押しで夢の中、というところで、仰向けになった俺の腹部になにかが飛びついてきた。

ぐえ、形容するならまさにソレ 声にならない悲鳴をあげながら咄嗟に目を開ければ、
目をまん丸ぱちくりさせてる俺の彼女サマがそこにいた。


「晴矢君寝るの?」

「…寝るの?じゃねえ、 寝 て た の。」


飛びついてきた怪物の正体を確認したので、もう一度目を閉じることにする。
上瞼と下瞼がくっついた瞬間、金切り声とも言えるの批難の声


「晴矢君かまってくれないとつまんない」
「涼野と基山にかまってもらえよ」
「晴矢君じゃないとやだー」


さっきまでトランプしてただろうが、と付け加えれば不満げに眉を顰める
その背後にいる奴等はいたってそ知らぬ顔で、2人してスピードなんてやってやがる

断固として寝の体勢を崩さない俺に、ついに彼女のわがままが落城したようで、
俺の隣に寝転んで、ぴったりくっついて じゃあ私も だって。
ふわふわ風に揺れてる髪の毛からちょっといい匂いがして柄にもなくドキリとしてしまった。


勝負をつけた基山の声を最後に、あとは夢の中でのお楽しみ という事で。




(2010.05.13 Alice)
(雷霆シグナル様/17.君の恋はわかりにくい)