時間は中休み、殿の召集無視して中庭をぶらぶら。 右往左往する視線の先になにを探しているかといえば、もちろん我が麗しの姫君。 通り過ぎる人の視線を無視したその先に、ようやく恋焦がれたその姿 前髪をいつもと逆に整えて、すこしだけおすましな声で彼女の名前を呼ぶ。 「」 「あれ、馨?」 彼女は僕の演技にすっかり騙されたようで、僕の大切な片割れの名前を呼び、 つかみは上々、と内心にやつきながらもベンチに座るの隣に腰を下ろした。 そんな僕の様子に、一人なんて珍しいねなんて彼女は笑ってみせる 「光はどうしたの?」 「殿に呼ばれてね、光は特別任務があるんだって」 「へえ、それもまた珍しい。いっつも二人でセットなのに」 僕の口からでまかせに、は茶色がちな瞳をぱちくりと瞬かせる。 ね、珍しいよね なんて彼女の言葉に頷きながら首をかしげる 「手持ち無沙汰になったし、にでも会ってやるか。って?」 「そうそう、ご名答。」 「馨ってばヒドイんだー」 そう言いながらもは嬉しそうに にこにこ笑う。 さて、彼女の笑顔も見れたことだし、本題はここから ねえ、ところで と口を開けた僕にはまたきょとんとした顔をする。 「は光のことどう思ってるの?」 僕の質問に、今度は困った顔して視線をうろうろさせ始める。 さながら一人百面相と言った感じにころころ変わる表情が可愛くて、思わず頬がゆるみかける …おっといけない、今僕は"馨"だったんだっけ。 どうって言われても、と口をもごもごさせるの顔を覗き込む。 スキ?キライ? 追い討ちをかけるようにそうにっこりと笑いかけてあげれば、途端に頬が赤くなる。 「…馨にはおしえない」 「えーなんでー」 口をヘの字に曲げて(もちろん頬は桃色のままだが)立ち上がったはスカートの裾をひらりと翻し、 もうチャイム鳴ってるよなんて尤もらしい理由を漏らしながら僕に背中を向ける。 ねえ、ちょっと待ってよ って、そのままつい何時もみたいに引き寄せてぎゅうって彼女を抱きしめる。 ふわってのシャンプーの匂いがして、しまった なんてはっとしたってもう遅い。 「やっぱり光だ」 「・・・・・・気付いてました?」 「分け目変えて、声色まで変えてきたからノリに付き合ってあげただけです。」 判らない訳ないでしょ、と不服そうに口をとがらせる彼女をもう一回ぎゅーって抱きしめる。 だってなかなか言ってくれないんだもん、と呟けばするりと僕の腕から抜け出す。 「光のことキライなら騙されちゃうのかもね」 「そんなんじゃ嫌だよ、ちゃんと言ってー」 「だから、"馨"には教えないってば」 そう言っては僕の前髪をぐちゃぐちゃして、いつもどおりに整える。 そしてそれから整えたばかりのソレを少しだけ掻き分けて、額に遠慮がちな… 「…そんなのズルイ」 「ズルイのは光もでしょ、お互い様。」 (2010.05.28 Alice) |