顔色の優れない頬 痩せ細った手首 艶の減った唇 食の通らない白い喉 私は儚いものが好きなのかもしれない。 今にも消えてしまいそうな儚いものが そうだとしたらきっと私は一般的に「最低だ」と言われる感情を彼女に抱いているのだろう。 それでも彼女が好きで好きでたまらないのだ、この気持ちが一般的ではない"にしても 「食べられそう?」 私は言った。 心から心配している様を精一杯装って。 陽毬ちゃんは私の差し入れであるフルーツゼリーを掌にのせたまま笑う。 薄いほっぺたが、上がった口角によって更に存在を主張する(私は陽毬ちゃんの笑った顔が好きだ) うん、美味しいよ と陽毬ちゃんは言う、私は良かった とまたほっとする様を装って言った。 「ちゃんがお見舞いに来てくれると、私嬉しくて」 今日だって一日とても具合がよくって、と陽毬ちゃんは笑う。 私は今度は少しだけ残念な気持ちを偽って嬉さを装い、そう言って貰えたら私も嬉しいと笑って見せた それだけで陽毬ちゃんはまた笑顔になる。 赤髪のお兄さんはきっと私の本心を見抜いている。 だから私と会うと軽蔑の視線を投げられる事もしばしば それもそうだろう、私は「儚い」ものが好きなのだから。 今にも、 消 え 入 っ て し ま い そ う な (青髪のお兄さんは私の本心なんて知る由もないという感じで、陽毬ちゃんの友達だと快く迎えてくれる) 私、陽毬ちゃんの事大好きだから 早くよくなって欲しいな そう言ってぎゅっと彼女の体を抱きしめる。 陽毬ちゃんの体はひんやりとつめたい。 呼吸さえ浅くて、ほんとうに私は彼女が愛おしくて堪らなくなる。 「私もちゃんが大好きだよ」 陽毬ちゃんもきっと、どうして私が自分にこんなに心酔しているのかを判っている。 だから… そう呟いた彼女の背中を私はそっと撫でた。 それはやはりひんやりと冷たかった (2012.08.15 Alice) |