「ユーリ!君からもなんとか言ってやってくれないか!」


過ごしやすい午後の柔らかい日差しにうとうとと眠気を覚えはじめていた脳に、幼馴染と言うか腐れ縁と言うかともかくまぁそんな付き合いであるフレン・シーフォの非難めいた声とノックもなしに少々乱暴に部屋のドアを開ける音が飛び込んで来る。


閉じかけていた瞼をしぱしぱとさせながら、けたたましい登場の騎士様を振り返れば、なにやらご乱心の様子である。
見れば、普段は冷静沈着を貼り付けたような顔のフレンが、眉はキッと吊り上げ勢いのままに来た為か髪は乱れ、瞳にはなんともしれぬ怒りにも似た色が灯っている。



「なんだよ、どーしたフレン。お前にしてはやけに不躾な登場だな」



ただならぬ表情のフレンをなだめるようにやんわり笑う。
まぁ残念な事にそんな些細なことでは到底気の収まりそうもない騎士様は自分の背中からソレをずい、と俺に突き付けた。





「これはこれはまた……」






突き出されたソレ、またの名を  ともいう。


フレンに右手をむんずと掴まれ、俺に突き出される格好となった彼女は顔を真っ赤にしてあわあわと慌てた様子で口ぱくぱくさせている。



「ちちちちち、ち、ちがうの、こ、これはその、ちがうの…!!」
「なにが違うもんか、こんな下着みたいな服を着て 君は一体何を考えているんだい?!」



俺に向かって必死に否定の言葉を並べるに、フレンがまたキッと眉を吊り上げて叱りつける。



「こんな服を着て、どれだけ肌を公衆の面前に晒すと思っているんだ! 」



こんな服、とフレンが先程からしきりに声を荒げるように本日目の前にいるはいつもと様子が違っていたのだ。

普段の3割、いや4割増しとも言ってもいい。
とにもかくにも、肌の露出が普段の装い以上に多いのだ
(それ以前にそもそもが好みそうなデザインですらない)




フレンに突き出されて、下がるに下がれないの格好を頭の先からつま先まで一瞥する 


(これは確かに、なんとも…)






「あ、あの、その、ユーリあの、これは…」
「ユーリ、君からも彼女に言ってやってくれないか! 若い女の子がこんな…!!」


が何かを言おうとすればフレンがピシャリと遮ってしまう。
騎士様はそれはそれはもう心底お怒りのご様子である。

さてどうしたものか、と顎に手を添えて息を吐く




「それにしたってフレン、お前も成長したよな。 んな姿のに動揺することもなく説教が出来るなんて」



ふと俺の口をついて出た言葉に、フレンの時がぴたり。と止まる

それからゆっくりを見る。そんなフレンをも頬を染めたまま不思議そうに見上げる。



そうして突然フレンが茹ダコも顔負けの色で顔を真っ赤にする
慌てた様子でを捕まえていた左手をすぐさま離し、えほんおほんと咳払いの後に取り繕ったようにキッと俺を睨んだ。
(さりげなくから目線を逸らしながら)

「とっと、とにかく!後はユーリに任せたからね!」

などと声を荒げながら大層動揺した様子でフレンは開きっぱなしのドアに額をぶつけながらを俺に託し、部屋後にしたのであった。






そんな幼馴染のの乱心っぷりに目をまんまるにしているの両肩をむんずとつかめば、ぎゃあともひゃあともつかない情けない悲鳴を上げる。
どれどれ珍しいものだししっかりこの目に焼き付かせて頂こうじゃないか
挙動不審を隠しきれないを自分の足の間に座らせて、ふむふむ とさらけ出された白い肌を眺める。

布面積、狭い…(こんな服一体どこで)



そう思った俺の考えを見透かすように、おずおずと言った様子でが口を開いた。



「あ、あのね、その、ユーリも健全な男の子だしやっぱりこういうのが好きなもんだ、って……レイヴンさんが」



聞けば、世間話の流れから昔何の気なくおっさんと話した下世話な会話を聞かされた挙句
『男なんてみんなそんなもんなんよ』なんて、このようなきわどい衣装一式を手渡してきたそうだ。
折角くれたものだし、と自室に持ち帰りこっそり袖を通してみたはいいものの、想像以上に貧相な仕上がり(曰く)になってしまった事にショックを覚え
1人鏡の前で打ちひしがれているところに、タイミング悪くフレンが訪ねてきたそうなのだ。

そうして、この一騒ぎである。


まあそこからは想像でしかないが、おそらく俺の部屋まで説教されながらフレンに引きずられてきたのであろう。
(ということはまあ、それなりに誰かしらに目撃されている可能性もあるとして)



「……面白くねぇな」


ぼそ、っと呟いた言葉にが不安げな目で俺を見上げる。
わき腹から腕をすべり込ませて抱きかかえれば、くすぐったそう身じろぎするソレのあらわになっている肩口にガブリと噛みついた。



「!!!???!?!」


突然のことに、は目を白黒させる
痛い痛い!って思い出したように非難の声を上げる身体を解放すると、肩にクッキリ残る赤い噛み痕
どうしてこんなことするんだ、みたいな顔して涙目で睨みつけるから今度は首から耳にかけてを一舐めしてやった


…なんだその"想定外"みたいな顔は (挑発してきたのは誰だよ、っつー話)











例の件はに免じてなかったことにしてやるからこれ以上妙なこと吹き込むなよな、おっさん。
ちょ、青年!か、肩、肩痛いから!!暴力反対っ!あだだだだだ!


(2013.06.18 Alice)