ちゃん、もうお昼だよ〜」

「いつまで寝るつもりだよ、いい加減起きろって」



てんし、天使たちの声がする…。


















まだ夢の中なのか、なんなのか、耳元で私の名前を呼ぶふたつの声。
今日から春休みなんだもん、まだ寝かせてよ、昨日もバイト遅かったんだもん…

なおも絶えずに繰り返す声を無視して暖かいお布団に頭を隠す。
ちょっと息苦しいけど、体温で暖まった心地よい温度がまた私を眠りへと誘う

うとうとしはじめたところで、今度はあーっ とちょっと高めの声。


「アツヤ、ちゃん潜っちゃったよ」
「しょーがないやつ…」


そんな台詞のあとでいきおいよく私の温もりが遠退いていく。
一気に冷たい空気がパジャマのすそから入り込んできて、思わず身震いをした。

さむいようさむいよう って、うわ言みたいに呟いているうちに意識がだんだんはっきりしていく


「今日はでかける約束してたでしょー」
「早く準備しろよな




あれ。 ん、 んん?

聞き覚えがあると言えば、ある声。 誰だっけ、 聞いたことあるんだけどなあ
我が家にこんな声の人なんて居たっけ、居たような、居ないような?

疑問を解決するべく私はごろりと寝返りを打つ。
見覚えのある部屋、 うん、間違いなく私の自室である

だけれども確実に見覚えのないもの、ふたつ


「おはよおちゃん」
「やっと起きたか」

水色頭に蒼目の男の子と、外はね水色頭に燈目の男の子。  ん?


「・・・しろくんと、あつくん?」



思い当たる名前がふたつしか浮かばなかった。
素直に口に出せば片方はにこにこ笑って片方は怪訝そうな顔。



「まだ寝ぼけてんの?」

「・・・そんなバカな!」


とりあえずもう一度枕にダイブすることにした。






(2010.04.20 Alice)