しん、と静まり返った真っ暗な部屋。そっと開けた筈の扉の音がやけに響いた気がして、
ドキリとすこしだけ胸が鳴った。 なんか、夜這いでもしにいくみたいだ。

ふむふむ お兄ちゃんのしろくんは豆電球派で、あつくんは真っ暗派 と。

くだらない事を頭の隅にメモとりながら、私はスリッパを脱いでそっと足を踏み入れる。
風呂上りで暖かい体が、冷たいフローリングに触れた足の裏から冷やされていく


「さぶさぶっ」


小さく呟きながらも目指すはただ一つ、あつくんのベットだ。
あと一歩、と言うところでもう寒さに我慢なんなくて、勢いよく飛び込んだ
私の下でぐえっとなんとも悲痛な叫びが聞こえる。
そしてその直後、勢いよくソレが起き上がった(おかげで膝らしき硬い部分が後頭部に直撃!)


「…なにしてる」

「一緒にねよーと思って」


寝起きのあつくんはすごく怖い。一つ勉強になりました。
ジロッと睨まれて、へびに睨まれたかえるのような気持ちになる。
わー、またげんこつされる! 思わず眉根を下げれば、あつくんはそんな私を見て鼻で笑った
そうしてそのまま、またもやお布団の中へと逆戻り。


「一緒にねようよー」

「勝手にすれば」



よく見れば、あつくんは背中を向けた側に人一人分のスペースを空けていて、
もちろんそこへと私が足を滑り込ませればちょこっとだけこちらに寄りかかってきた。


「あつくん?」


あつくんはなにも言わない。
私も少しだけ彼にくっついてみたけど怒られなかったのでそのまま目を閉じることにした。






(2010.04.24 Alice)