![]() 「折角冥ちゃん来てたのに、みぃちゃん先に帰っちゃうから」 「あーもういいって、その話」 私が口を尖らせてそう言うのにみぃちゃんは相変わらず眉を潜めて仏頂面するだけで ちっともこちらの話に耳を傾けようとしない。 そんなんいーからさァ、なんてあまったるい囁きを耳元に残して 制服の脇からひんやり冷たい体温の左手を滑り込ませながら首筋に口をつける。 「もお、」 「んーちゃんチョーイイ匂い。好き、大好き」 「だーめー、これから練習でしょ。みぃちゃんサボると私がキャプテンに叱られる」 キャプテンの単語を出した途端に戦意喪失でもしたかのようにみぃちゃんはガックリ項垂れる。 それを見計らってちゃっかり背中のホックを外しに掛かってた手をぺりっと剥して 身なりを整え先に私が立ち上がった。 ぱたぱたとスカートの皺を直していると、みぃちゃんが不機嫌そうな目でこちらをジトリと睨んだ。 そうして吐き捨てるように早口で一言「あいつと話したか」 もちろん、みぃちゃんが言ってる"あいつ" はただ一人。 「うん、お話したよー たっつんも一緒に」 「他には?」 「あとはー…冥ちゃんに抱きついて、頭なでなでしてもらった!」 そしたらみぃちゃんは あっそ と興味のなさそうな声で、 でも顔は物凄く苛々した顔で足早に教室を出て行った。 |