![]() 「みぃちゃーん喉乾いたあ、あつーい」 「金やるから自分で買って来い、…ホレ」 「わーいありがとうみぃちゃん 大好き!」 「今日は一段と我侭じゃん、ミヤも大変だな(´∀`)」 「いや絶対そう思ってないっしょその表情」 茹だるような暑さに嫌気が差しているというのは正直と同じなのだが 如何せん今日ばかりはまあそれなりに真面目にしておかないとなんていう思いがあるのは勿論 キャプテンの屑桐さんの同行をしているわけで、 俺達は今 甲子園に向けた大会の抽選会へと足を運んでいた。 監督のお気に入りなのか屑桐さんのお気に入りなのか、選手でもないが普通について来ていることに 最早つっこみを入れるなんて言うのはナンセンスだとでもいうのだろうか。 格言う俺も、正直かったりーだけとか思っていたところにあいつが居りゃあだいぶマシに思えるから有難いっちゃ有難いのだが。 「ていうかアイツ何処まで買いに行ったんだよ。もうすぐ抽選始まるっての」 「おや、おやおやおやあ!」 ガシャコン、ようやくこれだと思えるジュースの自販機に辿り着き買い物を済ませた所で後ろで賑やかな声が聞こえた。 不思議に思って振り返れば、私を見て手を振っているのは十二支高校の猿野くんで、 他のメンバーさんは試合では見たことあるものの直接面識のない人たちばっかり。 「さんも来てたんスね!」 「うん、屑桐さんがねえ来てもいいぞって言うから来ちゃったー」 あまくにくんが笑うと、なんだか懐かしい気持ちになるのはどうしてなんだろう。 それと一緒に言い様のない、なんだろう、この感情 とにかくもやもやしたものが脳みそを埋め尽くしていく。 あまくにくんの後ろにいた十二支のキャプテンの牛尾 さん?だったよね、 が不思議そうに首を傾げて『猿野くん、その女性は』とそう言うのであわてて私は頭を下げた。 「わ、あ、ご紹介が遅れてすみません、私華武校2年 野球部マネージャーのと申します」 先日は練習試合有難う御座いました、と勢いよく頭を下げると頭上から軽快な口笛が聞こえた。 「へ〜あの華武にこんなマトモな可愛い子ちゃんがいたなんてノンチェックだったZe♪」 「こらこら虎鉄くん、初対面の女性の手を握ったりするものじゃないよ」 なんて、キャプテンの牛尾さんが優しく笑うので私もつられて笑みが零れる。 と、そこで釘をさすような監督さん?の声が鋭く響く『もうすぐ抽選会が始まるぞ』 「…はっ! は、早く戻らないと、みぃちゃんに叱られる」 「みぃちゃん?」 猿野くんが首を傾げる、その言葉にうん御柳芭唐のみぃちゃんに って早口で答えを残して 十二支メンツの皆様に頭を下げて 一目散に私は踵を返した。 「み、御柳、ってあの野郎か…」 |