![]() 「あ、冥ちゃんからメール」 だらりと俺の部屋の床に素足を投げ出したがすこしだけ嬉しそうに声を弾ませる。 仰向けに転がってた身体をこんどはうつ伏せに変えて、手早く携帯のキーを押して行く そうして放置された俺はと言うと苦し紛れに掴んだ雑誌には意識半分で、 あとの残りは投げ出された無防備な足と、捲れあがった服から見える真っ白なわき腹。 ……じゃ、なくて 「なに、アイツとどんなメールしてんの」 「わあっ、ちょっと、かえしてよー」 両手でつかまれていたスライド式のそれを一瞬で引っ手繰ってボタンを押した。 きいきい怒ってるを片手でいなして今作成中だったメールに目を通す プライバシーだのなんとかの侵害だの力じゃ勝てないは負け惜しみみたいに慣れない言葉を並べ立てるが そんなもの完全に右から左に受け流す感じで一切聞いちゃ居ない。 そこに書かれていたのは残念なことに至極つまらないもので 『大会の組み合わせがどうの』とか『頑張ろうね』とか『応援に行くね』とか …て、 ん? 「やオマエ、ライバル校(と呼んでやるのもおこがましいが)を応援に行くね。ってどーなの」 「だ、だって冥ちゃんの試合、見たいじゃん……て、偵察も兼ねて!」 苦しい。苦し紛れにも程があるいいわけである。だがしかし屑桐さんには通用しそうで恐ろしい。 別にいいけど、好きにすればって思いのほか冷たい声が口から飛び出したので 自分で言っておきながらドキリと一瞬肝が冷える。 (ああ、格好悪ィ俺) そろりと隣りを振り返れば、はきょとんとした顔をしていたものの 今度は一転して嬉しそうにしまりなく笑って全体重掛けて俺に飛びついた。 思いっきり後頭部からベットにダイブした俺の上で、が可愛く口角を上げて笑う (ご機嫌な証拠ですねわかります) 「みぃちゃんも行く?」 「行くかばーか」 |