「た、た、た、たいへんだよ みぃちゃん!」

「ちょ、おい、わか、ったから、前後に、揺さぶ、んの ヤメロ!」




突然夜中に人の部屋にやってきたかと思うと
すでにベットで半分眠りかけてた俺目掛けて勢いよくダイブしてきた上に、
それはもう、ものすごい勢いで前後に揺さぶられてる俺(いや性的な意味じゃなくて、文字通り)

落ち着けって!と少々声を荒げたらはピタリと動きを止めて、
すると次はその見開いた両目から一気にぶわっと涙を溢れさせた。
今度は一転俺が慌てる立場である、どどど、どうした、泣くなと精一杯優しく言ってみても
はうわーんなんてガキみてぇに喚くだけで埒があかない。

よくよく見ればその手には例のごとくそいつの携帯が握り締められていて
まさか、なんて一筋の汗が俺の首筋を流れる



「…おまえ、まさか、また "冥ちゃんが" とか言わないよな」

「え、 なんで判るの? みぃちゃんエスパー?」



それはもう、溜息の日本代表と言っても過言では無いほどの立派な溜息が俺の口から一気に零れ落ちた。 心配して損した、慌てて損した、ってか明日も朝から試合だってのにそんなことで叩き起こされた俺って一体

一気に何もかもがどうでもよくなって、未だに俺の上にまたがってるを無視して
ぐちゃぐちゃにされた掛け布団を引き上げベットへとさっさと潜り込む。
ねえ、ちょっと聞いてってば と不服そうな声をあげるを無視して目を閉じる





「ねえ、 みぃちゃん  …ほんとに寝ちゃった?」









『チームの都合で次の試合まで帰れない。連絡出来るかどうかも判らないから先に言っとく』









「なにするつもりなんだろう、 十二支高校……」




(2010.10.30 Alice)